交通事故で使うことができる保険は?
交通事故の被害にあって怪我をしてしまった場合、発生する損害は多額になることも少なくありません。
ですから、保険の利用が大切になってくるのですが、交通事故で使うことのできる可能性がある保険は、一つではあれません。
相手方の自賠責保険や任意保険、健康保険、労災保険、被害者側の任意保険など複数あります。
これらの保険は、どのような場合に使えるのでしょうか。
ここでは、それぞれの内容や使い分けについて、基本的な内容をご紹介していきます。
自賠責保険や任意保険
交通事故といってまず思い浮かべられる保険は、自賠責保険と任意保険ではないでしょうか。
自賠責保険(自動車損害賠償責任保険)は、すべての自動車に加入する義務がある強制保険で、被害者に対して最低限の補償をすることを目的とされたものです。
すべての自動車が加入しているものですので、交通事故の被害にあった場合には、自賠責保険の保険金を受け取ることができます。
なお、対物賠償は補償対象に含まれないことから、自動車の修理費などの物損については、自賠責保険では補償されません。
次に、任意保険ですが、これは、文字通り、加入するかしないかが「任意」の保険です。
ですから、必ずどの車も加入しているとは限りません。
しかし、交通事故の賠償金は多額になることが多く、自賠責保険だけでは、通常、すべてをまかなうことはできませんから、万が一のために、多くの方が任意保険に加入しています。
運転免許を取得する際にも、任意保険には加入するようにと指導されますね。
任意保険の場合は、自賠責保険とは違って、対物賠償保険もありますので、多くの場合には、修理費なども補償の対象となります。
もっとも、どのような補償がなされるのかは、それぞれの契約によって異なります。
自賠責保険で補償される内容
傷害による損害に対する補償
治療費、看護料、通院交通費、休業損害、文書料、傷害慰謝料などが補償されます。
もっとも、支払限度額は、120万円です。
傷害慰謝料の金額は、「総治療期間の日数」と「実治療日数×2」のいずれか少ない方に、1日あたり4300円(※)を掛けて算定されます。
※2020年4月1日以前に起きた事故の場合は4200円
後遺障害による損害に対する補償
交通事故の怪我が原因で後遺症が残ってしまった場合には、後遺障害等級の認定を受けると、逸失利益と後遺障害慰謝料が補償されます。
後遺障害慰謝料は、後遺障害の等級(程度に応じて14個に分けられています)に応じて、金額が定められています。
32万円から1650万円(※)です。
※2020年4月1日以前に起きた事故の場合は1600万円
死亡による損害に対する補償
被害者が死亡してしまった場合は、葬儀費、逸失利益、死亡慰謝料が補償されます。
死亡慰謝料には、死亡した被害者本人の慰謝料(400万円※)と遺族の慰謝料(請求者の人数によって550万円~750万円)があります。
※2020年4月1日以前に起きた事故の場合は350万円
労災保険
労災保険とは、業務上の災害や通勤災害によって労働者が負傷したり病気になったり死亡したりした場合に、労働者またはその遺族に対して保険金が支払われる保険です。
交通事故であっても、業務上や通勤途中の事故であれば、労災保険を利用することもできます。
もっとも、自賠責保険と労災保険の両方から保険金を受けとることができわけではありません。
労災保険と自賠責保険の支払いのどちらを先に受けるのかは、被害者が選択します。
ただし、自賠責保険を使った場合でも、労災保険の休業特別支給金(給付基礎日額の2割分)を受け取ることはできます。
健康保険
交通事故による怪我の治療には健康保険を利用できないのでは?と思われている方も少なくありません。
場合によっては、医療機関側から、「交通事故なので健康保険は使えません。」などと言われてしまうこともあるようです。
しかし、交通事故で負った怪我であっても、健康保険を利用して治療を受けることは認められています。
厚生労働省も、健康保険を使用できるという見解を表明しているのです。
(ただし、先ほどの労災保険が適用された場合には、健康保険を使うことはできません。)
むしろ、健康保険を利用した方がよいといえるケースも存在します。
例えば、被害者側にも過失ああるケースなどです。
そのほかにも事案によっては、健康保険を使うべきと思われるケースもありますので、具体的には、弁護士にご相談ください。
交通事故でお怪我をされた場合は弁護士にご相談ください
このように、交通事故の被害にあわれた場合に利用できる保険は、ひとつではありません。
どのように保険を使えばよいのかは、場合によっては、複雑でわかりにくいこともあります。
使い分けがうまくできなければ結果的に損をしてしまうケースもあるのです。
ですから、交通事故の被害にあって治療を続けられる場合には、まずはお早めに弁護士にご相談ください。
当事務所では、治療中から含めて、親身にサポートいたします。