高次脳機能障害と後遺障害等級認定を受けるためのポイント

代表弁護士 吉田 聡 (よしだ さとし)

交通事故で頭部に外傷を負ったあとに発症することのある後遺症のひとつに、高次脳機能障害があります。

高次脳機能障害は、医師に気づいてもらえない場合があったり、一見すると症状がないように見えたり、後遺障害等級認定を申請する際に特別な書類が必要になったりと、そのほかの後遺症と比べても特殊な面のある後遺障害です。

この記事では、高次脳機能障害で後遺障害等級認定を受けるためのポイントについて、ご紹介します。

高次脳機能障害とは

脳外傷による高次脳機能障害とは、交通事故で脳が損傷を受けたことによって、その後、一見完全に回復したように見えても、記憶障害、注意傷害、遂行機能障害、社会的行動障害、人格変化などの症状が現れることをいいます。

症状の出方や程度はいろいろありますが、様々な日常生活上の支障が生じます。

場合によっては、損害賠償請求を行うための判断能力が失われることもあります。

高次脳機能障害は外見からはわかりにくく、医師の診察によっても気づかれずに、社会生活の中で初めて問題が出てくるといったことが少なくありません。

交通事故との関係が見逃されやすいという問題もあります。

高次脳機能障害の後遺障害等級

高次脳機能障害は、症状がそれほど重くないケースでは特に、目にみえにくい障害であることから、その後遺障害等級認定には、困難を伴います。

高次脳機能障害の判断に当たっては、①事故により頭部に外傷を生じたこと、②受傷後一定期間の意識障害が継続したこと、③意識回復後、認知障害及び人格変性が生じていること、④交通事故によって受けた外傷による脳の受傷を裏付ける画像検査結果があることが、基本的な目安になります。

認定基準

後遺障害等級は、その程度に応じて、14級から1級までに分かれています。

高次脳機能障害の場合の基準は、次のとおりです。

1級1号 「神経系統の機能又は精神に著しい陣害を残し,常に介護を要するもの」

 

●補足的な考え方:「身体機能は残存しているが高度の痴呆があるために,生活維持に必要な身の回り動作に全面的介護を要するもの」

2級 「神経系統の機能又は精神に著しい陣害を残し,随時介護を要するもの」

 

●補足的な考え方:「著しい判断力の低下や情動の不安定などがあって,1人で外出することができず,日常の生活範囲は自宅内に限定されている。身体動作的には排泄,食事などの活動を行うことができても,生命維持に必要な身辺動作に,家族からの声掛けや看視を欠かすことができないもの」

3級 「神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し,終身労務に服することができないもの」

 

●補足的な考え方:「自宅周辺を一人で外出できるなど,日常の生活範囲は自宅に限定されていない。また声掛けや,介助なしでも日常の動作を行える。しかし記憶や注意力,新しいことを学習する能力,障害の自己認識,円滑な対人関係維持能力などに著しい障害があって,一般就労が全くできないか,困難なもの」

5級 「神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し,特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの」

 

●補足的な考え方:「単純くり返し作業などに限定すれば,一般就労も可能。ただし新しい作業を学習できなかったり,環境が変わると作業を継続できなくなるなどの問題がある。このため一般人に比較して作業能力が著しく制限されており,就労の維持には,職場の理解と援助を欠かすことができないもの」

7級 「神経系統の機能又は精神に障害を残し,軽易な労務以外に労務に服することができないもの」

 

●補足的な考え方:「一般就労を維持できるが,作業の手順が悪い,約束を忘れる,ミスが多いなどのことから一般人と同等の作業を行うことができないもの」

9級 「神経系統の機能又は精神に障害を残し,服することができる労務が相当な程度に制限されるもの」

 

●補足的な考え方:「一般就労を維持できるが,問題解決能力などに障害が残り,作業効率や作業持続力などに問題があるもの」

等級認定のポイント

高次脳機能障害が認められるためには、まず、事故により頭部に外傷を生じたことが必要です。

基本的に、画像により脳の器質的病変の存在が確認されている、診断書により脳の器質的病変が存在したと確認できるなどが必要となります。

当事務所では、カルテなどを取り寄せて、大体脳挫傷とか硬膜下血腫とか、そういった診断名がついている場合には、まず高次脳機能障害を疑ってかかります。

また、事故直後に意識喪失があることもポイントとなります。

カルテを取り寄せると、入院したときの経過とかが分かりますので、意識障害があったかどうかも確認できます。

高次脳機能障害の認定にあたっては、交通事故で受傷された以前と後とで、被害者の方の日常生活状況などが具体的にどのように変化しているかということも重要な要素です。

後遺障害等級認定の申請にあたっては、「日常生活状況報告」を提出して、周囲のご家族からみた被害者の症状やその変化を具体的に示すことが大切になります。

当事務所では、ご家族から丁寧に聞き取りを行い、適切な主張を行います。

高次脳機能障害については当事務所にご相談ください

このように、高次脳機能障害の等級認定を獲得することは、容易ではありません。

しかし、高次脳機能障害は、生活に支障を及ぼす重大な症状です。

当事務所では、できる限り、適正な賠償金を受け取ることができるよう、等級認定のサポートも十分に行います。

交通事故で頭に怪我をされてからご家族の様子がおかしいなどといったお悩みがあれば、お早めに当事務所までご相談ください。

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